仮処分: 暫定的、仮定的になされる裁判又はその執行のこと。
強制執行をするために、裁判を起こしたものの、勝訴判決等の権利が確定した時点で、相手が財産等を処分してしまっているというケースがあります。これを防ぐため、訴訟を起こし裁判所で判決を得るまでの一定時間がかかる間、利益を守ったり、人々の身の安全を守ってくれるのが仮処分となります。民事保全制度の一つで、「仮差押え」と役割はほぼ同じですが、仮処分は金銭債権以外の権利を保全する点で仮差押えと異なります。
仮処分には「係争物に関する仮処分」と「仮の地位を定める仮処分」の二種類が存在します。
係争物に関する仮処分の係争物とは訴訟における争いの目的物です。土地や不動産など、現状の変更により、債権者が権利を実行できなくなるおそれがあるときや、権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに実施されます。例えば「処分禁止の仮処分」、「占有移転禁止の仮処分」、「工事中止の仮処分」などがあります。
仮の地位を定める仮処分とは、係争中に生じている損害や急迫の危険を避けるために実施されます。例えば、会社を解雇された場合の「賃金仮払い処分」、独占交渉を守るための「他社との交渉の差し止めを求める仮処分」などがあります。
仮処分の手続きには、仮差押えと同様、時間もお金もかかります。債権者の申し立てに正当性があることを疎明する資料を、申立書と一緒に自分で作らなければなりません。また、担保となるお金(供託金)の用意が必要です。