クレジットカードの入会審査で必ず行われるのが、申込者の個人信用照会。具体的にいうと、個人信用情報機関に登録されている申込者の信用情報にアクセスして、その内容を確認する作業のことだ。これによって例えば、どんなクレジットカードを持っているかや、過去の利用歴、ローンの有無などがわかるようになっている。
「えーっ、勝手に人の個人情報を見るの!?」と思うかもしれないが、これは合法的なもの。クレジットカードの申込書には、個人情報機関にある情報を確認するという旨がしっかりと記載されており、カード会社は審査のためにそれらの情報を確認をすることができるのだ。
クレジットカードの入会審査と信用照会とは:
個人信用情報の照会とは?:
目的は「経済的な信用度合い」を調査すること:
クレジットカード会社はなんのために信用照会を行うのだろうか?それは、もちろん、クレジットカードをつくりたいと申込をしてきた人が、本当に信用できる人なのかどうかを判別するため。もちろん、ここでの信用とは「経済的な意味での信用」のことだ。
後払いでお金を精算するクレジットカードを発行するということは、いわば一時的に借金ができるカードを渡すということと同じ。貸したお金をきちんと返してくれる人かどうかをしっかりとチェックすることは、カード会社にとっては、いわば生命線だと言える。
そして、そのチェックにあたって重視されるのが、過去のお金に関する記録、つまり個人信用情報というわけなのだ。
信用照会のクレジットカード審査への影響度合い:
個人信用情報には過去のクレジットカード利用歴や、カードローンやキャッシングでの借入の有無などが細かく記録されている。これは、クレジットヒストリー(略してクレヒス)と呼ばれるもの。事実の記録なので、自己申告の属性情報などよりも、ある意味では情報の信用度が高い。
クレヒスをチェックすれば、申込者が信頼できる人物なのかどうかがある程度わかるので、信用照会はクレジットカード審査で、かなり重視されているというわけだ。
信用照会結果と審査への影響:
信用照会の結果 | クレジットカードの審査 |
---|---|
信用照会の結果、信頼できる人物だとわかった場合 | クレジットカードの発行を認める方向で審査をする |
信用照会の結果、信頼できない人物だとわかった場合 | クレジットカードの発行を許可しない方向で審査をする |
ザックリと言えば、こんな感じである。 もちろん信用照会だけですべてが決まるわけではないので、信頼できそうな人でもクレジットカード発行をしない場合もあれば、信用できそうもない人にでも発行する場合がある。審査に通すか通さないかは最終的にはクレジットカード会社の総合的な判断。あくまでも傾向としての話だと思っておいていただきたい。
全てのクレジットカード会社が信用照会を行っている:
かなり前には、信用情報機関への情報照会をせず、自社独自の審査基準だけでクレジットカードを発行するようなハウスカードなどもあったと聞く。しかし、今ではほぼ100%のクレジットカード会社が、何らかの形で個人信用情報機関で申込者の信用情報を確認している。
法律によって、すべてのクレジットカード会社は、消費者の支払可能見込額を調査することを義務付けられている。その調査のために、最低限でも指定信用情報機関であるCICには加盟しなければならないことになっているし、自社が持っているカード会員の情報を登録しなければならない。つまり、日本でクレジットカードを発行する会社は、必ずCICに加盟しそこでお互いの会員情報を公開しあっているということになる。
裏ワザはもはや通用しない:
個人信用情報機関は複数(2015年現在3つ)存在するが、登録されている情報はそれぞれで異なる。また、どれとどれの信用情報機関を利用しているかはクレジットカード会社によって異なる。そのため以前は、「都合の悪い情報が登録されている信用情報機関に情報照会をしないクレジットカード会社に申し込めば、ブラック状態でもクレジットカードの発行ができる」などと言われたことがあった。しかし、いまはそんな技は通用しないと思っておこう。
CIC以外の個人信用情報機関も含めて、お互いの横のつながりもかなり強化されている。金融事故などの重要情報はほとんど共有されていると見ていい。残念ながら、もはや小手先のテクニックでクレジットカードを手に入れるのは難しいと思ったほうがいいだろう。
審査は入会時だけではない:
無事審査を通過し、カードをゲットしてひと安心。でも、「クレジットカードの審査は入会時だけ」と思っていたら大間違い。更新の際などにも、途上審査と呼ばれる審査が行われる。そこで信用照会をすれば、他社発行のクレジットカードの延滞情報などもバレてしまい審査に影響するので、日頃の利用状況をきれいにしておくことが何より大切だ。
手に入れたクレジットカードは地道に利用し、確実に返済して行く。それによってしか信用は築けない。また、傷ついてしまった信用をとりもどすのは大変なことだ。くれぐれも、軽い考えで延滞などをしないようにして欲しい。