クレジットカードの旅行傷害保険は、旅行中のケガや病気、死亡を補償してくれる保険。ただし、この保険には自動付帯と利用付帯という付帯条件が異なる2つのタイプがあるので注意が必要だ。
普段あまり意識していない人も多いので、いざ保険を利用しようとしたら使えなかった…などということがないよう、その違いや利用条件などを理解しておこう。
クレジットカードの保険、自動付帯と利用付帯:
自動付帯保と利用付帯の違いとは?:
旅行傷害保険に見られる自動付帯と利用付帯の違いは、そのクレジットカードで旅行代金などの支払いを行っている場合のみに適用されるか、クレジットカードを保持していれば自動的に適用されるか、というところだ。
自動付帯の保険とは:
クレジットカードを持っているだけで保険が自動的に適用される保険
利用付帯の保険とは:
旅行の費用などをクレジットカードで支払っている場合のみに適用される保険
■保険が有効になる条件
付帯の仕方 | 補償条件 |
---|---|
自動付帯 | 旅行に出かけた時点で自動的に保険が有効になる |
利用付帯 | クレジットカードで旅行費用などの支払いをしていなければ保険が有効にならない |
なお、国内・海外旅行傷害保険は、すべてのクレジットカードに付帯されているわけではなく、特に国内旅行傷害保険が付帯しているカードはかなり少ない。それに対して、海外旅行傷害保険が付帯しているクレジットカードは比較的多いが、自動付帯する場合と利用付帯の場合に分かれる。以下では、主にこの海外旅行傷害保険を前提に説明して行こう。
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自動付帯の保険、その注意点:
自動付帯の保険は、何もしなくても自動的に補償が付いてくるので便利で安心。よく旅行に行くという人には、自動付帯の旅行傷害保険が付いているクレジットカードはおすすめだ。ただし、「自動付帯するから安心!」と、油断は禁物。すべてのトラブルに無条件に対応してくれるわけではないので、補償の範囲や条件についてはよく確認しておきたい。
例えば、海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードの場合、死亡補償や後遺障害補償、傷害・疾病治療補償は基本的には共通して付帯しているが、賠償責任や携行品損害・盗難などの補償があるかどうかはクレジットカードによって異なる。
さらには、傷害・疾病治療補償が適用される場合でも、医師の診断書や治療費の領収証、さらに事故の場合は現地警察が発行した事故証明書が必要となるなど、様々な条件がある。中には、「クレジットカード入会後一定期間が経過していないと補償されない」などという場合もあるので、自分の持っているレジットカードの付帯保険はどうなっているのか、利用規約をよく読んでおくことが大切だ。
利用付帯の保険、その注意点:
利用付帯の保険は、旅行のツアー代金や移動のための公共交通機関の料金などをクレジットカード決済した場合のみ保険が適用になる。
対象となる利用に注意:
この場合、対象外のものに支払いをしても保険は有効にならないので気を付けよう。例えば、公共交通機関の料金をクレジットカード決済するという場合、電車やバスの運賃や飛行機代は対象となるが、タクシーは含まれないことがある。空港への行き帰りに利用するタクシー料金をクレジットカード払いにしても、保険の対象にはならないことがあるので事前によく確認しておこう(タクシーも利用付帯の対象になる場合もある)。
また、保険の請求には期限が設けられている点も要注意だ。利用付帯の場合、一般的には事故の発生から30日以内に請求する必要があり、それを過ぎると補償されなくなってしまうことが多い。
自動付帯のクレジットカードの方がいいの?:
自動付帯の保険は、確かに便利。ただし、傾向としては、自動付帯の保険が付いたクレジットカードは年会費がかかる場合が多い。それに対して、利用付帯の保険が付いたクレジットカードの多くは年会費が無料だ。
自動付帯にそれほどこだわる必要はない:
利用付帯といっても、保険適用の対象となるツアー料金や公共交通機関での移動費用をカード払いにするだけでよく、特に面倒な手続きが必要なわけではないので、自動付帯とそれほど大きな違いはない。利用付帯であるということをちゃんと理解しておけば、実質的にはあまり変わらないかもしれない。
海外にしょっちゅう行くという方や、空港ラウンジなどのサービスも使いたいという方は、年会費がかかるクレジットカードを選ぶことにメリットがあるかもしれないが、それほど頻繁に海外に行くわけではないという方なら、保険利用の確率なども考えると、利用付帯の年会費無料カードでもいいのではないだろうか?
種類は少ないながら、年会費無料でも海外旅行傷害保険が自動付帯するクレジットカードもある。ただし、あくまでも付帯保険は付帯的なものに過ぎない。クレジットカードは、自分にとってのトータルな使いやすさを優先して選ぶようにしよう。掛け捨てタイプの旅行障害保険などもあるので、上手に併用することをおすすめしたい。
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自動付帯+利用付帯が可能な場合もあり:
クレジットカードによっては、カードを利用することで補償額が上乗せされるという保険が付帯している場合もある。例えば、最高5,000万円の傷害死亡・後遺障害補償が自動付帯しているのに加え、カード利用によって補償額が最高1億円に増額される…などというものだ。
ダイナースクラブカードやゴールドカード以上のアメリカン・エキスプレス・カードなど、ステータスの高いクレジットカードで見られる方式だ。
知っておきたい利用付帯の裏技的活用:
利用付帯のクレジットカードの中には、「海外で公共交通機関の料金を払った場合、その日から最長90日間補償が受けられる」という条件の保険が付いたものがある。例えば、 SBIレギュラーカードなどがそれにあたる。クレジットカードマニアの間でよく言われる、これを使った有名な裏技を紹介しておこう。
自動付帯の保険が付いたクレジットカードの場合、出国すると自動的に保険適用期間が開まり、一般的には90日で保険適用期間外となってしまう。そこで、期限が切れるギリギリの頃を見計らって、現地で利用付帯の海外旅行傷害保険が付いたクレジットカードを公共交通機関で利用すれば、さらに90日の補償を受けるというものだ。両方合わせると、約半年間の補償が受けられるようになるというわけだ。
ただし、この裏ワザを使えるカードは限られており、疾病治療費用補償がないなど補償も不十分なことが多いので、あまり頼りすぎない方がいいかもしれない。
いずれにしても、海外旅行には2枚以上のクレジットカードを持って行くようにしたいところ。それぞれのカードの付帯保険の利用条件をきちんと確認して、理解しておくといいだろう。