クレジットカードの利用可能残高とは、「あといくらまでそのカードを使うことができるか?」を示す金額のこと。その時点で支払いに使える残高のことだ。誤解されやすい部分でもあるので、以下にくわしく説明していこう。
このページの内容
クレジットカードの「利用可能残高」の基本
「今ならあといくら使えるか?」
総枠から未決済額を引いた額
クレジットカードの利用可能残高とは、そのクレジットカードで使える残り金額のことだ。
みなさんがお持ちのクレジットカードには、信用度合いに応じて最大いくらまで使えるかという総枠(=利用限度額)が必ず設定されている。その総枠の中で「今、あといくら使えるか?」を示す金額が「利用可能残高」だ。計算式で表すと以下のようになる。
この計算式にある「未払いの利用金額」とは、買い物などでカードを利用してまだその支払いを行っていない金額のこと。つまり「クレジットカード会社に返済が必要な金額」の合計のことだ(いわばその時点の借金の額だ)。
「その月の利用額を引いた残高」は誤解
いろいろな人の話を聞いていると、利用可能残高を「利用可能限度額からその月の利用額を引いた残高」と思っている人が意外と多いのだが、これは間違いだ。
利用可能残高=利用限度額-その月の利用金額 ×(間違い)
利用可能残高=利用限度額-その時点の未払い利用金額合計 ○(正解)
たとえば利用限度額(総枠)が100万円のクレジットカードがあったとしよう。8月に20万円、9月に25万円のカード支払いを利用したとする。どちらの引き落としもまだ行われていない場合の未払いの利用金額は合計45万円になるので、利用可能残高は55万円だ。支払日が来て8月利用分の20万円が引き落とされると、その時点で20万円分がリセットされ、利用可能残高は75万円となる。
「締日と支払日の関係」がポイント
なぜこのような面倒なことになるのか? もうおわかりだと思うが、クレジットカードの締め日と支払日はそれぞれバラバラに決められており、カレンダーの1ヶ月(1日から月末まで)を単位に精算されるわけではないからだ。私たちはなんとなくカレンダー上のひと月を単位としてお金の管理をしてしまうが、それとはサイクルが異なるのだ。
たとえば、
- 15日締め→翌月10日支払い
- 末日締め→翌月27日支払い
- 末日締め→翌々月5日支払い
などクレジットカードによって締日と支払日の設定はさまざまだ。利用明細にある「○月利用金額」の記載も、カレンダーの月ではなく上記のサイクルに基づいている。締日と支払日の関係によっては、利用限度額が100万円あっても月50万円の利用が2ヶ月分たまれば、一時的に利用可能残高がゼロになる期間もある。毎月定期的な利用があるような場合は特に注意してほしい。
実は、クレジットカードの締日と支払日は意外と奥が深いので、クレジットカードを使うなら知っておきたいポイントだ。知っておけば必ず役に立つことがあるので、以下の基礎知識にぜひ一度目を通してほしい。
利用可能残高がゼロになったら? 対処法はあるの?
利用可能残高がゼロになると次の支払いまでカードは利用できない
利用可能残高がゼロになると何が起きるのだろうか? これは単純で、利用限度額オーバーとなり、利用可能枠が復活するまでそのクレジットカードを使うことができなくなるだけ。利用限度額オーバーになったからといって、カード会社からぺナルティを受けるようなことは何もないので心配は無用だ。
ちなみに、利用可能残高がゼロになったことに気づかないままそのクレジットカードを使おうとするとどうなるだろうか? 店員さんが端末で認証手続をした時に利用限度額オーバーとなり、「利用できません。カード会社にお問い合わせください」 といったメッセージが出るはずだ。これもよくあることなので気にすることはない。
もちろんそのカードはその時点では利用できないので、現金や電子マネーで支払うか、ほかに持っているクレジットカードがあれば使うようにしよう。
リセットされるのを待とう
利用限度額オーバーになった場合、基本的には、次の支払日が来て利用可額がリセット(復活)されるのを待つしかない。くわしくは以下のQ&Aを参考にしてほしい。利用限度額オーバーになってから、次の支払い日が来て利用可能額が復活するまでのプロセスを細かく解説している。
クレジットカードの利用可能額はいつリセットされますか?
クレジットカード利用可能残高には「遊び」がある?
クレジットカードの利用限度額は、設定された金額以上に余裕を持たせている場合もあるようだ。
クレジットカード会社が会員の利便性をアップさせるための方策で、支払いの現場で急きょ使えなかった………といったトラブルを少なくするため、利用限度額に多少の「遊び」を設けている。遊びがあるクレジットカードの場合には、たとえば利用可能残高が20万円でも、25万円の買い物ができるケースもある(遊びがまったくないクレジットカードもある)。「利用可能残高が少し足りないかも……」と不安な場合でも、ダメ元で試してみてはいかがだろう。
利用可能残高が足りない場合の3つの対処法
「30万円分利用したいのに、利用可能残高があと10万円しかない」。こんな場合には利用枠が復活するのをただ待つしかないのだろうか?
1. 繰上返済する
ひとつの方法として「繰上返済」がある。決められた支払日よりも早く支払いを行って利用可能残高を増やす方法だ。次の支払日に返済するはずの金額を早めに返済してしまうことで、利用可能残高の枠を空けるやり方だ。
手続きは簡単で、カード会社に「繰上返済をしたい」と電話すれば応じてもらえる。方法も丁寧に教えてくれるはずだ。繰上返済はカード会社が指定する銀行口座に振り込むのが一般的で、振込手数料はカード利用者が負担する。
2. 利用限度額アップを申請する
毎月のように利用限度額が足りなくなる場合は、利用限度額の引き上げを申請するのもオススメだ。応じてもらえるかはカード会社の審査によって決まるが、普段の利用状況や返済状況が優秀であればだいたいOKなケースが多いようだ。
3. クレジットカードの所持枚数を増やす
クレジットカードの所持枚数を増やせば、合算して利用限度額を増やすことができる。メインのカードを1枚しか持ち歩かない主義の場合でも、別のクレジットカードに入会していざという時のために備えておくと安心だ。当サイトでも、おすすめのクレジットカードをさまざま紹介しているので、気になるカードを見つけたら公式サイトをぜひチェックしてほしい。