金融関係の会社に就職活動を開始しようとしている大学生や専門学校生の方に、クレジットカード会社への就職はどのようなものになるかをまとめてみようと思う。これを読んで頂ければクレジットカード会社の現状や業務内容、そして就職のデメリットなどがわかってもらえるはず。本当に就職したいかの判断材料にしてもらえればうれしいと思う。
※尚、先に断っておくが私自身はクレジットカード会社にて勤務したことはない。あくまでクレジットカード情報を集める中で、クレジット会社に勤務している方にお会いしたり、会社にも頻繁にお邪魔させていただいたことがある…というだけである(本当の中身まではわからないが大まかな仕事内容は把握しているつもり)。なので、あくまでもひとつの参考として受け止めて欲しい。
クレジット会社に面接にいくならカードの基礎知識くらい覚えていこう
クレジットカード会社の仕事内容まとめ:
待遇も比較的よくて、安定性もあるということで、就職先としてクレジットカード会社を候補に考える人は多いかもしれない。女性が多く、長く働きやすい職場としても人気がある。しかし、クレジットカード会社と言ってもピンキリで、すべてが大手のクレジットカード会社と同じというわけではない。以下に、就活サイトなどにはあまり掲載されていないような部分を中心に、ランダムに書いてみたい。
主な業務内容は?
まずはクレジットカード会社ではどのような仕事をしているのか?業務内容を簡単にまとめてみた。もちろんクレジット会社によって、ある業務もあれば無い業務もあるため、すべての会社に当てはまるものではない点に注意してほしい。
クレジット会社の仕事内容 | 仕事内容の詳細 |
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基本業務 | クレジットカード会社を運営する上での基本業務。総務・人事・広報などといった企業としての基本業務の他、企業提携、加盟店開放、VISAやMasterCardといった国際ブランドとの交渉などなど、クレジットカード会社ならではの基本業務がいろいろある。 |
イシュアー業務 | クレジットカード申込者を新規募集して審査をしたり、更に自社カードを利用してもらうための対策などをする業務。クレジットカード会社はカードを使ってくれる人を増やして使ってもらわないと利益にならないため、非常に大事な業務と言える。 |
アクワイアラー業務 | クレジットカードが使えるお店やレストランなどの加盟店の新規開拓業務や、加盟店が更にクレジットカード決済を行いやすくするためのシステム導入などのサポート業務。 ※最近では新規加盟店開拓を外部委託しているクレジット会社も多い。 |
システム管理&構築 | クレジットカードの運営管理のための基幹システムを構築・運用する業務。システムエンジニアなど、プログラミングに強い方が対応する業務である。 ※最近では大手クレジット企業が構築したシステムを借りている場合も多い。 |
セキュリティ業務 | クレジットカードの不正利用や盗難対応、不良加盟店などの教育を行う業務。詐欺グループなどの偽造クレジットカードなどの対処も含まれる。トラブルを未然に防ぐための仕事と言える(システム業務に近い部分も多い)。 |
顧客サービス | 会員からのクレジットカードに関する質問や疑問、苦情などに対応する業務。電話オペレーター業務や返済が滞りがちな利用者への督促など、直接顧客と対応することが多い。カード利用者向けのカウンターを用意している会社もある。 |
きつい仕事に当たる可能性も調べておこう:
デスクにすわって新規クレジットカードの企画を立てたり、VISAやMasterCardといった国際ブランドとの交渉をするのがクレジットカード会社…と思っていると、現実とのギャップにやられてしまうこともあるかもしれない。特に入社後に、顧客サービス部門に配属されてしまうと心が折れてしまう方もいるようだ。
特に督促と呼ばれる『お金の取り立て業務』はお金を貸したにも関わらず、なかなか返してくれない不良顧客に対してお金を返してもらうための作業。テレビドラマのような怒鳴り合いな状況にはならないだろうが、想像していたカッコよくてスマートな社会人生活とはだいぶかけ離れた業務になることだろう(督促OL修行日記などの書籍にもなっている)。
昨今ではコールセンター業務は派遣社員などが対応:
せっかく正社員になったのに、利用者に怒られたりクレーム対応をするのはちょっと…などという場合には、面接時やOBなどのつてをたどるなどして、コールセンター業務に配属される可能性があるのかどうかを確認するのも手だろう。ネット上でも、内部情報を調べることができるサイトはいろいろある。
昨今では、コールセンター業務は派遣社員やアルバイトなどが代行するケースも増えてきている。実際問題として、顧客サービス業務は離職率が高すぎる部門なので、どうやら、せっかく採用した新卒社員にその業務を任せてやめられてしまっては困る…ということがあるようだ。
クレジットカードを発行しないクレジットカード会社も多い:
クレジットカード会社と言っても千差万別。その全てが大手で、クレジットカードを発行しているのかといえば実はそうではなく、中小のクレジットカード会社では、社員数が5~20名程度しかいないところも少なくない。実は、クレジットカードの新規募集はするものの、その発行や管理は親会社や関連会社に丸投げしてしまうところのほうが数としては多いのだ。
◯◯銀行◯◯カードといったようなカード会社はこのケースが多い。それ以外の名前が知られたクレジットカード会社でも、カード発行をしていないケースもあるので、そのあたりは事前にしっかりと調査した上で採用申込をしてみてほしい(例えば、出光クレジット株式会社など)。
クレジットカード会社に関する情報いろいろ:
いろいろあるかもしれないが、クレジットカードが好きなら、もちろん、ぜひ就職を検討して見て欲しい。その他、クレジットカード会社に関する情報をいろいろとシェアしておこうと思う。
クレジットカード発行ノルマがある場合も:
クレジットカード会社に入社すると、家族や友人に自社のクレジットカードを持ってもらうための勧誘をしなくてはいけない、いわゆるノルマがある場合がある。要するに自社のクレジットカードを1枚でも多くの人に持ってもらうため、周りにしっかりと宣伝して1枚でも獲得してこいというものだ。
以前は異常に厳しいノルマがあって友人の1人や2人を失くす人もいた…という話も聞くが、最近ではそこまで過酷なノルマがあるという感じではなさそう(あくまでも伝え聞く限りでは…である)。そのため、そういったノルマに対して過剰に神経質になることもないかもしれないが、カード会社に入社するなら多少は覚悟しておいたほうが良いだろう。
基本的にはどの業界でも同じ:
とはいえ、まぁ基本的にこれはクレジットカード会社にかぎらず、どの業界でも同じ話。
携帯販売会社に勤めれば携帯販売の手伝いをされるし、保険会社に勤務すれば身内の保険に加入する必要性があったりと、社員である以上、自社製品を周りに広めなくてはいけないのは一種の義務みたいなもの。最初から仕方ないんだと思っておいたほうが無難である。
クレジットカードを延滞しているとクレジットカード会社に就職できない?
クレジットカードを延滞したり、過去に金融事故を起こしていたりするとクレジットカード会社に就職できない…という話をよく聞くが、これは基本的には間違い。延滞を起こそうが自己破産していようが、その個人信用情報をクレジットカード会社が採用のために確認することは禁止されているためだ。
延滞をしている会社に申込むはさすがに無理:
ただ延滞をしているクレジットカードを発行している会社に就職を希望する…というのはまず無理。個人信用情報の閲覧は禁止されていても、その会社のクレジットカードを利用している顧客の利用歴は確認できるので、間違いなく不採用になってしまうものと思われる。
また、クレジットカード会社がカード入会審査の一環としてあなたの信用情報を確認することはできるので、せっかく採用されても、入社後、自社のクレジットカードをつくるように言われた場合にはばれてしまう…なんてこともありえる。基本的に事故歴があるような方の場合は、クレジット会社への就職はしないほうが無難かもしれない。
過去に破産歴や事故歴があるという方でどうしてもクレジットカード会社に就職したいという場合には、ダメ元で、面接時にきちんとその旨を伝えるのも一手かもしれない。『債務整理をした際に、御社の対応に感動しまして、その恩返しをしたいと応募しました・』と伝えればまだ考慮はしてもらえるだろう(あくまで考慮してもらえる…という可能性があるだけである)。
クレジットカード会社間での転職は多い:
クレジットカード業界での転職は、それなりに盛んな様子。クレジットカード会社から国際ブランドや外資系クレジットカード会社への転職なども、私が知っているだけでもそれなりの数が存在する。チャンスをつかめば収入増&ステップアップになるケースも多いようなので、そういうことも考えたうえで、最初の就職先を絞り込んでみるのも良いかもしれない。
また、だいぶ落ち着いては来たが、クレジットカード業界は未だに統廃合が進む可能性が残っている業界。会社の売却や親会社同士の合併で会社が変わる可能性、それに伴う配置転換やリストラなども考えられる。正社員として就職できた場合でも、しっかりと自力をつけ、万が一放り出されてしまった場合でも生き抜いていけるようにしっかりと自己啓発に努めて行こう!頑張ってほしい!
面接にいくならクレジットカードの基礎知識くらいは覚えていこう!