個人情報流出のニュースを目にすることは、いまや珍しくない。いくら注意しても、意図を持った高度なIT犯罪に巻き込まれてしまったら、防ぐことは難しいだろう。「情報は流出するかもしれない」という前提に立って、そうなった場合にどうするべきかという心構えを持っておくことが大切になってくる。まずは、今はそんな時代だと言うことを頭に入れておこう。
では、情報流出事故が起きて、「もしかしたら、自分のクレジットカード情報が含まれているかも!」などという時には、どのように対処すればいいのだろうか?今回は、あなたのクレジットカード情報が漏洩してしまった時の対応方法についてまとめてみたいと思う。正しい知識を持っていれば、むやみに怖がる必要は何もない。冷静に対応するようにしよう。
このページの目次:
クレジットカードを使うにあたっての、個人情報流出への心構えと対策:
情報流出に対する心構えを持っておこう:
情報漏洩は発生するかもしれない。その前提で考えることが大切:
残念ながら、個人情報漏えいを100%防ぐ方法はないと思っておこう。企業側も流出させたくて、しているわけではないし、ニュースなどで漏えい事故が報道されると、ダメージはかなり大きい。
むしろ、お金をかけて様々なセキュリティ対策を講じているのだが、それでもIT犯罪の手口は高度化しているし、社員などの人為ミスをゼロにすることも不可能だ。クレジットカード利用者側である私達がどんなに気を付けたとしても、今後も情報漏えいはゼロになならないことだろう。
実際のところ情報流出は、どれくらい起きているのか?
参考に、どれくらい情報流出が起きているのかについて紹介しよう。NPO法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の「2016年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】」によると、2016年1月1日から12月31日までのインシデント(事故)件数は468件。情報漏えいの対象となった人数は1,396万5,227人で、1件あたりでは3万1,458人となっている。想定される損害賠償金額の総額は2,788億7,979万円で、1件あたりでは6億2,811万円、1人あたりでは3万1,464円となる。
この数字を見ても、情報の流出は、自分の周りでもいつ起きてもおかしくない状況だということが分かるだろう。まず大切なことは、このような状況を理解し、「漏えいは発生する可能性がある」ということを頭に入れたうえで、クレジットカードを利用することだ。
むやみに怖がる必要はない:
盗難保険がある限り、情報漏えいによる被害は怖くない:
一方で、むやみに怖がらないことも大切だ。中には、情報漏えいなどのニュースを耳にすると「クレジットカードを持っているだけで、なんだか不安…」と感じてしまう人もいるようだが、そんなことはない。むしろ現金を持っているよりも安全なくらいなのだ。
利用限度額以上に使われることはない:
まずは、クレジットカードを不正使用されたとしても、無限に使われるわけではない。利用限度額以上に勝手に利用されることはありえない。また、万一不正に使用された場合でも、日本国内で発行されているクレジットカードには必ず、盗難保険と呼ばれる保険が付いているので、被害額を自分で負担する必要もない。
盗難保険が、被害額を100%補償:
盗難保険とは、個人情報流出事故などであなたのクレジットカード情報が第三者にわたってしまって、不正に使われてしまった場合に、その被害を補償してくれる保険のこと。たとえ100万円使われてしまおうが、それ以上であろうが、この盗難保険がある限りあなたの負担は0円で済む。盗難保険についての詳しい解説はここでは省略するが、以下の記事を参考にして欲しい欲しい。
オンライン犯罪被害への補償も一般化:
最近のクレジットカードには「オンライン不正保険」という保険も付いている。これは、その名の通り、オンラインでの不正利用の被害を補償してくれる保険のこと。偽メールを送って巧妙に情報を盗み取るフィッシング詐欺など、インターネット上の狡猾な犯罪による不正利用の被害も補償してくれる。
実は以前には、フィッシング詐欺にひっかかった場合などは、「本人の重大な過失」だとして盗難保険が適用されないケースがあった。しかし、それでは、心配でクレジットカードを使うことをためらってしまう人が増えてしまう。そこで、そういう場合でも補償されますよということを明示するために、オンライン不正利用保険として、別途提供するクレジットカード会社が出てきたというわけだ。
つまり、オンライン不正保険は、ネット上でもクレジットカードを安心して使ってもらおうとして、クレジットカード会社が導入した施策。そして現状では、特にオンライン不正保険をアピールしていないクレジットカードでも、自分がだまされてネット犯罪の被害に遭ったような場合も含めて、被害額は盗難保険から支払われるようになっているので安心してほしい。ネットでのクレジットカード利用の拡大とともに、不正使用から利用者を守る保険はかなり手厚くなってきている。
オンライン不正保険については、以下の記事もぜひ参考にして欲しい。
クレジットカード会社を信頼しよう:
クレジットカード会社の犯罪対策は進んでいる:
テレビのニュースで流れるような大規模な個人情報漏えい事故が発生した場合、クレジットカード発行会社が知らないはずもない。そんなニュースが一般に流れるよりも先に、どのクレジットカード番号が流出してしまった可能性があるかなど、企業からの情報を入手し、万全の体制で監視しているはずだ。
クレジットカード会社もそういった個人情報流出には慣れているし、万が一漏れてしまった場合の防衛策もきちんとわかっている。クレジットカードを悪意のある第三者に不正に使われてしまって困るのは、他の誰でもないクレジットカード会社自体なのだから、その対策にはどの会社も本腰をいれている。
高度な検知システムで普段から不正をモニタリング:
あなたは、クレジットカード会社が24時間365日、不正の監視を行っているということを知っているだろうか?。高度なロジックで構成される、カード不正検知システムを導入。プロが常時利用行動を分析して、不正使用のパターンを見つけ出して、データとして蓄積している。それにひっかかるような怪しい利用があれば、リアルタイムで抽出。、「要チェック!」というアラートがあがる高度な仕組みができているのだ。
ちなみに、この不正検知システムは、人工知能やビッグデータ解析技術などの高度な先端技術を使ってシステム開発会社が開発しており、日々、レベルアップしている。
情報の流出が起きた場合にすべきこと:
前置きが長くなったが、実際にクレジットカード情報が流出してしまった場合、具体的にどうすればいいのだろうか?その対応方法についてまとめておこう。
流出元からの連絡に注意する:
情報流出事故が起きた場合、その事故を起こした会社(流出元)は、ホームページなどで情報を公開し、該当者には必ず連絡するはず。ニュースなどで流出事故を知り、自分も関係するかもしれないと思った場合は、まずは流失元の会社のWEBサイトをチェックしてみよう。
また、第一報はメールで来ることが多いので、見落とさないように気を付けるようにしたい。パスワード変更などが求められている場合は、二次被害を防ぐために、すみやかにその指示に従おう。重要な事故の場合は、文書で連絡が来ることもあるので、郵便物にも注意しよう。
また多くの場合、専用の問い合わせ窓口が設置されるので、その電話番号やメールアドレスを、念のためスマホや携帯電話に記録しておくといいだろう。
不安な場合は、クレジットカード会社に確認する:
流出事故が発生した場合には、クレジットカード会社もホームページなどで情報を公開しているはず。それらも合わせてチェックしてみよう。自分のクレジットカードがどうなっているか、どうしても心配な場合には、電話での問い合わせもおすすめだ。
「今回の個人情報漏洩による被害状況には、現在どのようなものがありますか?」などと聞けば、ていねいに教えてくれるはず。自分のクレジットカードを利用停止にした方がいいのかどうかなども、合わせてアドバイスをくれるだろう。
クレジットカードの利用明細書の確認を念入りに:
流出事故があった後は、クレジットカードの利用明細書をよくチェックして、身に覚えのない請求が混じっていないかどうかを普段よりも入念にチェックするようにしよう。
クレジットカード会社側でも不正利用がないかどうかをチェックしてくれているが、あなたの目でもきちんと確認しておく必要性がある。もちろん、見つけた場合にはクレジットカード会社に連絡し、指示に従って盗難保険の手続きをしよう。
もっとも、利用明細書を確認する作業は個人情報が漏洩しようがしまいが、毎月きちんと行うべきこと。普段から、毎月きちんと確認するクセをつけておいて欲しい。特に、WEB明細を利用する場合、自分から見に行かなければ、何か月もみていなかった…などということになりがちなので、見落としにはくれぐれも注意してほしい。
必要に応じて、クレジットカード番号の変更手続きを:
クレジットカード番号が流出して第三者にわたってしまった場合、一番安全な方法はそのクレジットカードを利用停止にし、新しい番号で再発行することだ。再発行には時間がかかるので、少しの間は不便になるが、再度安心してカードを利用できるようになる。なお、個人情報漏えい時の再発行手続きの費用は、基本的には無料。あなたが負担する必要はないので、安心してほしい。
再発行した方がいいかどうかは、流出の規模や二次被害発生の可能性等にもよるので、クレジットカード会社に相談するといいだろう。緊急に必要な場合は、クレジットカード会社の方から案内が来る可能性もある。
以上、いろいろ説明してきたが、少しは安心していただけただろうか?クレジットカード利用明細書を毎月きちんと確認し、不審なものがあればクレジットカード会社に連絡すること。これさえ怠らなければ、万一の場合も盗難保険が適用されるので、個人情報流出について、むやみにおそれる必要はない。現金よりもむしろ安全だとも言える。よかったら以下のコラムも参考にしていただき、正しい知識と習慣を持って正しくクレジットカードを利用ていただければうれしく思う。