世の中には王族や貴族などのケタ違いにスゴイお金持ちがいるため、アメリカン・エキスプレス社ではブラックカードホルダーの上に「アメックス クリスタルカード」(別名:ホワイトカード)を作っている。センチュリオンカード(ブラックカード)ホルダーのほんの一部の人たちにだけインビテーション(招待状)が届き、本当のお金持ちのみがこのクリスタルカードホルダーになれる。
……という都市伝説(ウワサ)がインターネット上では蔓延している。なかにはクリスタルカードはどんなものを購入しても5%引きだとか、年会費がブラックカードとは違い無料だとかいうウワサも。
クリスタルカードのウワサはデマ……
クリスタルカードについてリサーチしてみたところ、年会費無料や5%キャッシュバックのウワサの発信元は、某群馬のブログ(すでに削除済み)によるものだと思われる。
タイトルに「USO-800」(嘘八百)とあるとおり、書いた本人はウソっぽく書いたつもりなようだが、記事中に明確に「ウソ」という明確な記述がないためだまされている人たちも多い様子だ(後日修正され、完全にウソという表現に変更になった)。
現実にそんなカードは存在しない
ただ普通に考えれば、カード会社が限度額無限大にも関わらず年会費無料で与信管理ゼロのカードを発行するはずもないし、5%キャッシュバックという利益がまったく出ないどころか赤字になるカードを作るはずもないので、クレジットカード業界についてくわしく知っている人であれば簡単にウソだとわかる。
しかし、クリスタルカードの画像付きでもっともらしく書かれていたため、そんな情報を信じてしまった人たちがネット上でクリスタルカードの信憑性を広めてしまった……というのがこの都市伝説の背景なのかもしれない(それより前からクリスタルカードの噂はあるので、異なる情報発信源の可能性もある)。
一般のブルーカードやクリアカードがの元ネタか?
ほかにもアメリカン・エキスプレス社が過去に一部の優良顧客にのみ発行した「Ebony Card」(エボニーカード)がこのクリスタルカードの元ネタになっているのではないか? という仮説もある。ただEbonyとは黒檀(こくたん)や漆黒といった意味であり、現在のブラックカードの原型になったカードといえるため、クリスタルカードと勘違いしたというのはやや関連性が薄いか? と思われる。
また米国のアメリカン・エキスプレス社の公式ウェブサイトを覗いてみると、年会費無料の「ブルーカード」(※)のデザインが半透明になっていた(左の画像)。「クリアカード」というカードも発行しているため、もしかするとこれらの半透明のカードが日本人の目には特別に見え、センチュリオンカード(ブラックカード)以上のクリスタルカードとして認識された可能性があるかもしれない。
ちなみに某高級ブランドショップに勤務する私の友人もこの半透明のブルーカードを見て、「特別なカードだと思った」と話していたので、そう思う人がいても不思議ではないと思われる。
※実際にはゴールドカードよりも下の一般的なクレジットカード
クリスタルカードの真相は結局不明
結局のところクリスタルカードについての真相はわからなかった。
しかし、過去にはゴールドカードが最高のステータスだった時代があり、次にプラチナカードが、ブラックカードが……と、移り変わりが激しいのはクレジットカード界の事実(現在の最高峰はブラックカード)。
今後このクリスタルカードが登場する可能性は充分にあるだろうし、一般庶民が知らないところでもうすでにクリスタルカードが作られ始めている可能性も否定できない。なんとなくワクワクする話ではあるが、一般庶民には縁がある世界ではどうやらなさそうだ(苦笑)。