クレジットマスターとは、コンピューターを利用して、実際に使えるクレジットカード番号を見つけ出すプログラムのこと。クレジットカードの16桁の番号にはある規則性があるため、推測が可能なわけだ。
もちろん、簡単にできるわけではないが、何万、何十万といったクレジットカード番号をコンピューターで作れば、そのうちいくつかは実際に使えるクレジットカード番号に当たる。そういった番号を見つけ次第、悪用するのがクレジットマスターを使う目的……というわけである。
クレジットマスターの特徴と対策方法
クレジットマスターは巧妙な犯罪手口
クレジットマスターは、クレジットカード犯罪の手法のひとつだ。1989年にアメリカ合衆国ではじめて確認され、1999年ごろからは日本でも悪用が確認されている。クレジットマスターで割り出した他人のカード情報を使ってネット上で買い物を繰り返し、警察に捕まった犯罪事例がいくつか発生している。
予防は限りなく難しい
そして、残念ながら2020年現在の今でもその根本的な対処法は存在しない。なにしろ、無作為にクレジットカード番号を作り出し、それらの番号が使えるかどうかを判断するというプログラムであるため、どの番号にあたるかは予知できず、あらかじめ防ぎようがないのが実態だからだ。
クレジットマスターで見つけ出されたクレジットカード番号は、日本国内で発行されているクレジットカードのこともあれば、イギリスやアメリカで使われているクレジットカードのことだってある。まさに誰のクレジットカードが、いつどの瞬間に被害に遭うかはわからないというのが実態なのだ。
クレジットマスターの被害を防ぐ方法はひとつだけ
先ほども説明したとおり、残念ながらクレジットマスターへの予防策はない。私たちにできるのは、事後対応だけだ。毎月の利用明細書を確認し、悪用されていないかをきちんとチェックして、早期発見することが被害から身を守る唯一の方法だ。
万が一、明細書の中に自分が利用したものではない請求があれば、すぐにクレジットカード会社に連絡してみよう。クレジットマスターによる被害だということがわかれば、盗難保険が適用される。申請手続きをすれば、どんなに高額の悪用をされたとしてもあなたの負担分は0円で済むので安心してほしい。
クレジットマスターで手に入れたカード情報は販売されることも……
クレジットマスターで入手した有効なクレジットカード番号は、暗証番号なしで利用できるネット通販などで悪用されることが多い。
ただし、世界規模の犯罪なので、日本のサイトで使われるとは限らない。犯罪者の心理を考えれば、足が付きにくいマイナーな通販サイトなどを使うはずなので、そういったサイトでの悪用が利用明細書に記載されていないかどうかをチェックしてみてほしい。外国の通販サイトで使われているような場合は見つけやすく、不正使用の疑いが濃厚だということになる。
クレジットマスターで見つけた有効番号は売買されている?
とはいえ、不正に入手したクレジットカード番号を不正使用するには、犯人にとっても相当のリスクがある。たとえば、通販サイトで利用するにしても、その商品を受け取る方法を考える必要性があるし、足が付かないようにするのは意外と大変だ。
たとえば、第三者に宅配便を受け取るバイトを依頼することも行われており、過去には、それが警察に見つかって捕まった事件も発生している。
そのため、クレジットマスターで割り出したクレジットカード番号は、オークションや闇サイトなどで次々と転売されることも多いようだ(だいたいどのくらいの金額で売買されているかはこちらのまとめで紹介しているので興味がある方は見てみてほしい)。このようなことから考えると、クレジットマスターの被害にあったクレジットカード番号はその後も不正利用の被害に遭いやすくなってしまう。早期に発見してカード番号を変更してもらうなどの対応をとることが大切だ。
クレジットマスターに関しては、私たち自身にできる対策は少ないのだが、ひとつには、クレジットカードと有効期限だけがわかれば買い物ができるようなネット通販サイトが減り、セキュリティコードや3Dセキュアなどの本人認証が強化されていくことに期待したい。安全なクレジットカード利用環境が整い、クレジットマスターでクレジットカード番号を割り出したとしても、安易に使えないような環境が整う日を心待ちにしつつ、利用明細の確認を怠らないようにしよう!