ブラックリストに載る…とよく言われるが、これは「この人は信用できないという情報が公開され、新しいクレジットカードを作ったり、お金を借りたりできなくなるような状況」のこと。しかし、「そのブラックリストとは、一体どういうもの?」「そもそも、どこにあるの?」と聞かれると、正しく知っている方は案外と少ないのではないだろうか?
そこで、このページではクレジットカード審査における、ブラックリストについてわかりやすく解説していきたいと思う。
クレジットカード審査とブラックリストに関する基礎知識:
そもそもブラックリストとは?
ブラックリストというリストがあるわけではない:
まず最初にはっきりさせておきたいが、ブラックリストという実際のリスト、つまり対象者の名前がずらっと掲載された一覧のようなものがあるわけではない。確かに、「ブラックリストに載る」というのはよく使われる表現だが、これは、ある意味比ゆ的な言い方だ。
クレジットカードやキャッシング、ローン返済などの履歴がものすごく悪い状況になっている状態を、ブラックリストに載る…という言葉で表現しているに過ぎない。ここは、誤解しないようにして欲しいので、最初に書いておきたい。その上で、以下に「ブラックリストに載る」とはどういうことなのかを具体的に説明していきたい。
情報を管理しているのは、個人信用情報:
ブラックリストを知るために、まず理解しておきたいことがある。それは、個人信用情報機関という組織の存在だ。個人信用情報機関とは、金融関係者が共同で利用する情報センターのようなところで、個人個人のクレジットカードや銀行融資などのお金得に関する利用情報を集めて管理している。
クレジットカード会社や銀行、消費者金融などの金融機関は、この個人信用情報機関の会員になっていて、新しくクレジットカードを申し込んできた人や、お金を貸りたいと申し込んできた人が信用できるかどうかを判断するために、そこに登録された様々な情報を必ず見ているというわけだ。
もうおわかりだと思うが、個人信用情報機関に『この人は、お金に関しては信用できませんよ』『お金を貸したり、新しいクレジットカードを発行したら危ないですよ』という情報が掲載されてしまうことを、一般的に「ブラックリスト載っている」「ブラック入りしている」「ブラック状態」などと言うわけだ。
なぜ、ブラック情報を共有しているのか?
金融機関のリスクヘッジのため:
もし、個人信用情報機関がなければどんなことになるのだろうか?例えば、Aさんがあるクレジットカード会社で作ったカードを目一杯使って、その支払をしないまま逃げてしまったとする。しかし、もしも個人信用情報機関がなくてその情報が共有されていなかったら、他のクレジットカード会社にはわからないので、もしかしたら、Aさんはまた違う会社でクレジットカードを作り、そのカードを悪用…などということが繰り返されるかもしれない。
もちろん、このような利用者は、クレジットカード会社や消費者金融からしてみれば絶対にお金を貸したくない相手。そこで、そのような人の情報をきちんと共有できるようにしているのが、個人信用情報機関なのだ。
個人信用情報機関があるお陰で、クレジットカード会社や銀行、消費者金融などの金融各社は、自社の会員や顧客の信用情報(クレジットカードや融資の利用状況、延滞歴や事故歴など)の情報を持ち寄って、いわばお互い情報交換することで、クレジットカードを発行したり、お金を貸して良い相手かどうかを見極めている…というわけなのである。
個人を守る意味合いもある:
別の例として、お金にルーズなBさんがいて、すでに大量にクレジットカードを保有し、限度額一杯まで使っているとしよう。もし個人信用情報機関がなければ、その情報がうまく他のクレジットカード会社に伝わって行かないため、さらに新しいカードを作ることができてしまうことになる。このようなことを繰り返していくと、Bさんは返済不可能になり、ついに自己破産に…というような可能性も考えられる。
しかし、個人信用情報機関にクレジットカードや融資の情報が集約されるようになれば、このような人に新たにクレジットカードを発行したりお金を貸したりはしないようになる。つまり、個人信用情報機関は、金融機関のためでけではなく、個人が借金地獄にはまらないように守る役割も果たしてくれるというわけだ。
ブラック状態の判断基準:
ブラック状態の判断は誰がする?:
もちろん、ブラック状態と言っても、あからさまに『この人にはカードを発行してはいけません!』といった警告メッセージが表示されていたり、ブラックマークががついていたりするわけではない。ましてや危ない人だけのリストが別に作成されるということでもない。過去の利用状況や返済履歴が閲覧できるようになっているというだけなので、金融機関はそれらの情報を客観的に読み取って、それぞれが判断することになるのだ。
つまり、その人がブラックかどうかの判断は、最終的には各社が固有の基準で行うわけなので、結果は異なる場合がある。一般には「ブラックリストに載った」と言われるような状況になってしまっていたとしても、クレジットカード会社によってはカードを発行することもある。そのため、あるクレジットカード会社の審査に落ちても、別のクレジットカード会社では通過するということがあり得るわけなのだ。
ブラック状態とみられる事例:
みなさんが一番気になるのはやはり、「自分はブラック状態なのか?」ということではないだろうか。そこで、ブラック状態とは具体的にどんな状態なのか?について話を進めよう。
具体的には、どんな情報?
個人信用情報には、それぞれの所有しているクレジットカードに関して、毎月の入金状況が2年分記録されている。支払いがきちんと行われていると入金状況の欄に「$」のマークが付き、未入金があると「A」のマークが付くようになっている。そして、未入金の「A」マークが3ヶ月以上続くと、返済状況(異動発生日)という欄に「異動」と記録され、返済が延滞している事実がオープンになってしまう。これが、一般に「ブラックリストに載った」と言われる状態だ。さらには、以下のようなケースが考えられる。
ブラック状態と判断されるケースとは?
比較項目 | 可能性 | 説明 |
---|---|---|
数日、返済が遅れた | × | たまたまうっかりであればほとんど問題視され図記録されない。 毎月毎月、返済が数日遅れたりするようなケースはマズいことも。 |
消費者金融からお金を借りている | △ | クレジットカード作成においてはかなりなマイナス。 (別の消費者金融からの新規借入にはそれほど影響しない場合も) |
数ヶ月、返済が遅れた | ◯ | ほぼ確実にブラックリスト掲載状態と見られる(事故状態)。 まさに踏み倒し状態なので仕方ない。 |
任意整理 | △ | 対応方法による。弁護士や司法書士などが細かく気を回していないと、問題視されることもある。 |
自己破産 | ◯ | 確実にブラックリスト掲載状態になる。 |
ただし、先ほども書いたように、判断はケースバイケースなので、あくまでも参考程度に考えておいて欲しい。
ブラック状態からの復活はできるのか?
ところで、一度ブラックリストに載ると、ずーっとそのままなのかといえば、そうではない。個人信用情報機関ではデータ保管期間が決まっていて、その期間を過ぎれば「異動」の記録は抹消される。クレジットの利用状況の場合、その期間は契約期間中および取引終了後5年間。この間じっと我慢すれば、いわゆる「ブラック明け」といわれる状態になる。
ただし、自己破産したような場合は、最短で10年間記録が消えないので、その間はクレジットカードをつくるのは難しいだろう。
自分の情報は確認できる:
ブラックリストに載っているかどうか心配…という方は、個人信用情報機関に請求すれば、自分の情報がどのように登録されているかを開示してもらえることになっている。
例えばクレジットカード会社が必ず加盟している指定信用情報機関であるCIC(シーアイシー)の場合には、パソコンやスマホからの請求、郵送での請求の他、窓口でも開示請求を行うことが可能になっている。開示請求の詳しい手続きについてはCICのホームページで、最新情報を確認して欲しい。
自分では問題がないと思っているのに、クレジットカードに申し込んでもなかなか審査に通らない…などという時には、情報がどのように登録されているかを、一度確認しておくのもいいかもしれない。現在日本には、3つの個人信用機関があるが、最適でもCIC、できればすべての情報開示をしてみた方がいいだろう。