要物契約: 契約が成立するには、目的物の引き渡しが必要であるという契約のこと。
契約は「諾成契約」と「要物契約」の2つに大分できます。
諾成契約とは
通常の契約は当事者間の合意という意思表示によって成立し、これを諾成契約と言います。具体的には商品やサービスを売買する売買契約、賃貸物件を貸し借りする賃貸借契約、請負契約などがこれに当てはまります。日本民法によると、契約自由の原則の方式の事由により、契約は原則として当事者の合意のみで成立する諾成契約が原則とされています。またヨーロッパ契約法原則においても諾成主義の原則が定義されています。
要物契約とは
しかし、契約の中には、数が限られるものの現実のものの引渡しを要する契約があります。これを要物契約、または践成契約あるいは実践契約と呼びます。具体的には、金銭等を変換することを約束して借りる「消費貸借契約」、目的物を無償で借り返還する「使用貸借契約」、保管をする約束である「寄託契約」などがこれにあたります。
クレジットカードなどは金銭消費賃借契約に分類されます。また、預金契約も消費契約のひとつであり、目的物には現金以外にも、小切手、手形、振込入金などもこれに含まれます。
要物契約は、契約の相手側からその物(金銭も含む)自体を受け取らない限り契約は成立しないということが最大の特徴です。対象となる契約は民法第587条~第621条に型が定められている契約があたります。